
貴方がいつもそこに居てくれたから…
第4章 参
幸せで…
こんなに、幸せな時間を…僕は知らない。
相葉「ふふ♪……泣かないで?」
少しずつ、視界が滲んでボヤけて来る。
相葉さんを見つめていたけど…
見えなくなってしまいそうで、必死で瞬きを繰り返してた。
それでも込み上げて来る涙の所為で、霞んで歪んでいく相葉さんの姿。
僕は思わず、怖くて腕を伸ばした。
相葉「悲しい涙?…嬉しい涙?」
そう言って涙を拭ってくれる。
首を振るだけで言葉を発せられない。
それでも相葉さんは優しく微笑みを向けてくれて。
僕の中で、相葉さんが爆ぜるまで涙が止まらなかった。
相葉「………大丈夫?」
「………はぃ……何、とか…」
散々、僕を堪能した相葉さん。
もう意識が飛びそうだった。
気付いたのかは分からないけど、『…もう、最後…ね?』って吐き出す様に言われて、やっと解放された。
グッタリする僕を抱き締めて、僕も力の入らないまま相葉さんの胸元に寄り添い眠った。
数日後。
お見合いをしたお相手の方から連絡が来たらしい櫻井さんからの電話で、何故か相葉さんがお断りされたと聞いた。
「……何か……ちょっと、ムカつきます…」
思わずそう呟いた。
確かにお見合いの話はご破算になってホッとはしたけど。
でも何だか腑に落ちない。
だって…
どうして、行きたくもない…仕方なしに行った相葉さん側がお断りされるんだ?
元々は、相葉さん側が初めから上手い事お断りする予定だったのに…
…と言う、とてつもない複雑な心境を抱える羽目になった。
本人は至って気にしてなくて、寧ろスッキリしてるから余計に不思議な何とも言えない感情だった僕。
大野「ふはっ(笑)!……まぁ、分からなくもないけど(笑)…でも良かっただろ?ニノの心配はなくなったんだし♪」
「まぁ…それはそうですけど…」
最近、僕はバイトを減らしてるお陰で時間に余裕があり過ぎるから、ちょくちょく大野さんのお店にお邪魔する様になってる。
そこで思わず溢してしまった僕の本音を、大野さんは笑いながらも優しく頭を撫でてくれた。
櫻井「あれは俺も本当に参ってたんだよ…今の会社には重要な相手だったからなぁ…」
大野「……昔は会社なんか…みたいな勢いで言ってたくせにな?」
そう言って軽く櫻井さんを睨む大野さん。
苦笑いした櫻井さんが、あからさまに目を逸らした。
