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貴方がいつもそこに居てくれたから…

第8章 ※ SS ※ partⅢ


櫻井「ただいまぁ♪」

相葉「お邪魔しまぁす♪」

二宮「…お邪魔、します」

あぁ…
帰って来た…

そう思いながら、翔以外の声に焦る。
だけどまるで動けないから、観念して。

掠れた嗄れた声で『……おかえ、り…』と絞り出した。

櫻井「智!?…どした!?…え?嘘だろ?…俺の所為か!…ごめん!」

「………あぁ」

櫻井「薬は?飲んだの?」

「……あぁ」

相葉「え?何?大ちゃん風邪?」

二宮「大丈夫ですか?」

翔はやっぱり自分の所為だって思ったらしい。
雅紀もニノも凄く心配そうに声を掛けてくれた。

「……ごめ、翔…」

櫻井「何?どした?」

「…飯………作って、ない…」

櫻井「馬鹿、いいよそんなん!何とかすっから。……智は?何か食えそう?」

「………いらない………兎に角、寒ぃ…」

ベッドに近付いて額に手を当てた翔は驚き目を見開いた。
すぐに体温計を脇に挟まれ。
なかなか鳴らないそれが、熱の高さを示してる様だった。


料理の出来ない翔は、どうやらニノにお願いしたらしい。

お粥を作ってくれた。
申し訳ないんだけど、食いたくない。

二宮「多分…そうかなぁと思ったのでお粥にしました。雑炊だとふやけちゃうので。食べられそうな時に櫻井さんに温めてもらってくださいね?」

「………ごめ、ん…」

相葉「しょうがないよ、ねぇ?和くん」

二宮「はい。大丈夫ですから」

優しい。
本当に。

二人は優しく微笑んでくれて、翔には頭を撫でられて。
近くに居たら眠れないだろうって、三人は店のカウンターに移動してくれた。


何だろう…

風邪を引いた事自体が久し振りなんだけど、静かな部屋に一人だと思うと何となく淋しい気持ちになる。

だけど耳を澄ますと微かに翔たちの声が聞こえてくるからまだマシだ。
すぐそこに居るはずなのに耳を澄まさないと聞こえて来ないのは、ドアを閉めてるのと気を遣って控えめに喋ってるからだろう。

節々が痛くて眠れない。

頭も痛くなってきた。

相変わらず吐く息も熱い。



………翔…



目を開けて、少しだけ眠れたんだと気付いたのと…
目の前に、翔の顔があって吃驚した。

櫻井「……大丈夫か?」

「………寒ぃ…」

呟いて、腕を伸ばし翔の手を掴む。

優しく微笑み、握り返してくれた。





               END

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