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貴方がいつもそこに居てくれたから…

第9章 六


大野さんが熱を出してから三日後、僕は心配でバイトの昼休みに様子を見に行ってみた。

当然鍵が掛かってて入れない。

インターホンを鳴らすべきかかなり悩んで、やっぱり夕方にしようとそのままドアに背を向けたら。

大野「……おっ………ニノ?」

背中に聞こえた声に振り向いたらいつも通りの大野さんが居た。
『大丈夫ですか!?』って聞いた僕にふわり笑って『もうすっかり♪』って言われた。

「……まさか……出掛けるとか、言わないですよね?」

大野「…あー……まぁ、ちょっと買い出しに?」

「駄目です!まだ熱下がったばっかりですよ?」

大野「いや、そうだけど……何もないし…飯、作れねぇから(笑)」

「だからって!……じゃあ僕、バイトの帰りに買って来ます!欲しい物、メモしてください!」

必死なあまりにそう言いながら外へ出ようとする大野さんを無理矢理押し戻した。
苦笑いする彼は、仕方ないと言う事を聞いてくれて、欲しい食材をメモして僕に差し出す。

凄い量のリスト…

それより何より、メモの字がとんでもなく綺麗で吃驚。
急いで書いた割には、物凄く綺麗な字だった。

「バイトは5時までなので、6時近くなっちゃいますけど…どうせお店だって休みですよね?問題ないですよね?」

大野「………休んだ方が、いい(笑)?」

「当たり前です!何言ってるんですか!いつも儲けるつもりないって言ってるくせに」

大野「ふっ(笑)……ふはっ(笑)……ニノって、案外強引なんだな(笑)」

「あ、えっと……すいません///……何か偉そうな事言いましたよね?本当ごめんなさい」

笑われて自分が必死過ぎたと気付いて恥ずかしくなった。
だけど大野さんは謝った僕に『そんな事ない、ありがと♪』って、頭を撫でてくれた。

久し振りに風邪を引いたらしい。

寝込む程なんて、最後にそうなったのがいつだったかも覚えてないくらい遠い記憶だと笑った。

丸々三日間、熱を出し続けたらしい大野さんは、ほんの少し顔が細くなってる気がする。

元々細い人なのに…

そう思いながら、バイトに戻ると大野さんの部屋を後にした。
バイト先のスーパーまでは結構な距離がある。
昼休みに来るには遠いくらいだ。

それでもやっぱり相葉さんの大事な友人ともなれば、僕にとっても大切な人だから。
出来る事があるなら出来る限りを尽くそうと思ってる。

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