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貴方がいつもそこに居てくれたから…

第9章 六


そんな不幸な話があるだろうか…

成瀬さんは咲田さんを連れて育った施設へ挨拶に行ったんだとか。
プロポーズこそはしてなかったけど、結婚を考えていたらしく、施設に行った後に結婚の話をするつもりだったらしいと大野さんが教えてくれた。

だけど、施設の先生たちが咲田さんの事を知っていた事に疑問を抱き、聞いてみたら…

大野「……兄妹だって、言われたらしいんだ。……しおりさんも、違う施設に預けられたけど…物心付いた頃には引き取られてたから本人の記憶はないって」

成瀬さんも物心付いた時既に施設に居たらしいから、自分に妹が居るなんて記憶は全くなかったんだとか。

そんな事って…
辛過ぎるよ…

成瀬さんは結婚まで考えてたのに…

二人を思うと胸が痛い。

大野「まぁでも。…辛いだろうけど、一生離れられないって点では、結婚より絆は強いから。……って、領は言ってたよ」

確かに、それはそうだけど…

違う形の愛がそこにあるだろう。
でもやっぱり、恋人同士の愛と家族としての愛じゃきっと違うはずで。

愛し合う事が、出来ないんじゃないかと思うとやっぱり辛いと思う。

大野「俺は言ったけどな?…別にいいんじゃないか?って。妹だろうと、愛してやるのは構わないと思う。結婚が出来なくても、お互いが愛し合ってるならって」

……そっか…

言われてみれば、僕や大野さんだってそれは似た様なもんだ。

僕たちだって愛し合ってる。

それでも結婚は出来ない。
結婚だけが全てじゃないんだって、きっと大野さんは思ってるんだと気付いた。

男同士…
兄妹…

まるで違うけど、似てる愛の形…

どんなに好きで、愛しても…
僕たちには結婚出来ないんだ。
でもだからって、二人が同じ想いでいるなら、何も形式上の事に拘る必要がないって事で。

「……付き合っては、いないんですか?」

大野「うん。……って、領が口では言ってる(笑)けど、一緒に暮らしてはいるみたいだぞ♪?」

穏やかに微笑んだ大野さん。

きっと成瀬さんは大野さんの言葉にかなり救われたはず。

そんな僕自身も、救われたから…


いつまで相葉さんと一緒に居られるかは、分かんない。

だけど僕にはもう、相葉さんしか居ないんだ。


この先は分かんないけど…


いつまでも愛し続けたいと、強く強く…願った。





         

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