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I'm In Love With The HERO

第2章 Invisible【赤←桃←黒】





「ちゃんと読みました?」

物思いに耽っていると頭の上にポン、と手を置かれた。
見上げるとパソコンをかき鳴らしてたはずの姐さん。

「あ?パソコンの演奏終わったのか?」
「演奏!?」

邪険な顔になるさくら姐さん。いやいや、ボケだよ。本当に馬鹿真面目だなぁ。
っていうか頭の上に置いた手をどけろよ。ちょっとドキドキしてる自分が嫌になるんだよ。

「読んだってわかんねぇよ。」
「何でわかんないんですか。」
「どうせ明石が書いた駄文だろ。」
「駄文じゃありません。批判や意見は読んでから言ってください。」

ほらほら、俺がちょっとでもあいつのことを貶すと鬼の形相になる。

「そんな怒んなって。」
「お、怒ってません!」

ムキになっていた自分に気付いたのか途端アワアワしだす姐さん。普通に可愛いと思うよ。

「はいはい、読んどくから。そんなに好きなのかよあいつのこと。」
「な、何ですか!別にそれとこれとは関係ない…」
「あれ?否定しねぇんだ。」
「真墨、いい加減にしなさい!」

真っ赤になって怒る姐さんに内心、笑いが止まらない。
本当にクールビューティで通ってる姐さんをこんなに感情的にさせるなんてあいつだけだよ。
どれだけ頑張ったって、あいつを超えたってさくら姐さんにとってのあいつには越えられないことはもう分かりきってた。

「悪かったって。」

だから。

「そういえば姐さん、格安のスイーツバイキング見つけたんだけど今度行かねぇか。」

姐さんの目が輝いた。
あいつが絶対にしないようなことをしてあげてさくら姐さんの中の俺の存在を上げることしか出来なかった。



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