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I'm In Love With The HERO

第2章 Invisible【赤←桃←黒】





本人は上手く隠しているつもりみたいだけどあんなにわかりやすいったらありゃしない。
それに気付かないあいつもあいつだけどな。

「チーフ」

あいつを呼ぶ声、みんなを呼ぶ声より甘さが含んであるの嫌でもわかる。

「どうした、さくら。」

それなのに何ともないって感じであいつは答えるからこっちがイライラしてくる。
多分、あんたは少し心の中で苦笑してるだけなんだろうけど。
それか、名前を呼ばれて少しときめいている、とか。

「この件に関してなんですが…。」

2人は仕事モードに入る。姐さん、普通そうにしてるけどあいつを見る目が完全に乙女だぜ。

「そうか、それはそっちで色々してくれ。」
「わかりました。」

小難しいことを2人で散々話し合い、終わったみたいだ。
俺にはさっぱり分からねぇ。いや、分かりたくもねぇ。

「こら、何寝てるんですか。まだ仕事中ですよ。」

さっきとは打って変わって、ナイフのように冷たい声色でソファでうたた寝する俺を咎める。

「休憩中だよ。」
「あなたは何時間休憩してるんですか。はい、これ。」

さっき話していたと思われることが書かれている資料をわたされた。

「目を通しておいてください。」

いや、渡されたってわかんねぇんだって。目を通したってわかんねぇんだって。蒼太辺りに渡せよ。
まぁ、読んでる風にしとけばまた注意されずに済むかな。
まぁ、さくら姐さんに注意されるの嫌いじゃないんだよな。ってか、最近はちょっと狙ってやってるとこあるんだよなぁ。…末期か。
資料を通して姐さんを盗み見る。
澄ました顔でパソコンを叩きまくる姐さん。
何でもないって顔してるけど腹ん中ではあいつのことしか考えてねぇんだろ。
早くあいつの指示、命令を聞いて動きたいって思ってんだろ。
見え見えだよ。あいつには見えてねぇみたいだけど。
何であいつばっかなんだ。




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