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桜花楼の恋

第8章 明かされた正体

・北山side

どんなに考え自問自答したって、もうどうすることも出来ない。



橋「よろしゅう願います」



そのときは来てしまったんだし。



北「おいでませ、クッ」



俺は、覚悟するしかないと心に決め頭を下げた。



横「顔を上げ、よく見せてくれ」



が、見上げた瞬間。

目の中に飛び込んで来た姿に、声も出ないほど驚いてしまう。

ちょ待て、マジでこいつが。



横「俺の顔になにか付いてる?」

北「いや、もっと歳いったやつかと思ってたもんで」

横「ふっ、若いのは嫌だとでも言いたそうな顔をしている思い出してしまう者がいるみたいな、ニッ」



なんでぇ?その含み笑いは。



横「まっ、いい取り合えず酒をくれ」

北「…分かった」



ただもんじゃないわ。



横「どうした緊張でもしているの?初めてではあるまいに、フッ」

北「べっ…別に‥」

横「もっと傍へ来いって、ほら」



あげくいきなり身体を引き寄せやがって、まるで藤ヶ谷みたいに。

ハッ、何を俺は比べているんだわ。



横「震えている」

北「んな…事は‥ない」

横「だったら俺の眼をちゃんと見な」

北「くっ」

横「逸らすんじゃない」



何もんだ、こいつ?



横「男娼とは客を喜ばせるのが仕事じゃないの」

北「あいにくと俺はその手のことは苦手だかんな」

横「なるほど」

北「そういうのが好みなら違う奴にしたらどう」

横「いや、俺は他の男娼を買う気はない」

北「なっ」

横「聞くところによると、お前は初だしの日より手付けの旦那以外には抱かれた事がないそうだが」



それが、どうしたって言うんで?




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