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桜花楼の恋

第8章 明かされた正体



北「つっ、クッ」

横「言ったはず俺の眼をちゃんと見ろと」



俯いている俺に、再び激が飛ぶ。



横「男娼は客の言う事なら何でも聞くんじゃなかったのか」

北「そう…だ‥クッ」

横「なら、こっちを向け」

北「くっ」

横「よし、それでいい」



またツツーッと太股を指がなぞりビクンと身体が反応する。



横「どうした?ニコッ」

北「なっ、なんでもね」

横「だったら何故、そんなに力を入れている?」

北「‥‥っ」



そのうえ言われて初めて俺は、それに気づいたんだ。



横「嫌か?俺に触られるのが、クスッ」



いつの間にか必死でこいつの腕を掴み、押し返そうとしている自分に。

なんで?



横「逆らおうってわけ」

北「ちっ、ちがっ…んな‥つもりは…クッ」

横「なら力を抜けよ」



ツツーッ!



北「…ん‥だっ…」

横「やっぱ嫌なんだろ?」

北「くっ」

横「まるで惚れている奴に操でも立てているみたいだな、フッ」

北「そんな奴…いね‥」

横「のわりには、モゾモゾ」



が、その指が更に奥へと進んで行き。



横「ちっとも柔らかくならないなぁ、股の間が」



股間ギリギリまで到達した次の瞬間!



北「よせ、ドンッ」



俺は、相手の身体を突き飛ばしてしまってよ。



横「ふっ」



だが、何故だかこいつは怒りもせず。



横「そう来なくちゃ、やり甲斐がない」



そんな俺を嬉しそうに見つめ。



横「さぁこれからが勝負」

北「なんの?」



再びジワリジワリ傍へ寄って来たかと思うと。



横「お前が本心をさらけ出すか俺が根を上げるか」



なにわけの分からないこと言っているんだ?



横「俺が勝ったら、お前の望み何でも叶えてやるよ」



“横尾渉”

こいつが藤ヶ谷に仕えている家臣だと知ったのは、この意味不明だと思っていた勝負が終わった後だった。

みんなの前で━




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