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桜花楼の恋

第16章 貫く強さと心

・北山side

千賀が、そんな無茶な行動を起こしていただなんて知らず。



亀「疲れた?北山」

北「ちーとな、フッ」



俺は…



亀「お前にしてはよくやったよ、しとやかな太夫ぶり大したもんだったぜ」

北「うっせぇや、チッ」

亀「ふっ」



自分の部屋で、こいつと今後のことについて話をしていたんだ。



北「で、これからどうすればいいんで?」

亀「俺が会わせた客連中は名前だけ金は払うが実際に郭へは来ない」

北「ってことは?」

亀「好きにしていればい」

北「はっ?」

亀「ただ、たまには店の為に太夫見たさで来た客へ笑顔くらいは振りまいとけ」

北「なんだ、そりゃ」



まるで、看板娘みたいだわ。



亀「それから明日より暫く加賀へ戻る」

北「へっ?」

亀「どうしてもやらなければならない事があってさ」

北「んじゃ」

亀「心配しなくても代わりのものが来ることになっているから」

北「誰?」

亀「それは来てからのお楽しみってやつで」

北「あっそ」

亀「丸や、あいつらもいる事だし太夫にはそう簡単に外部の連中は手出しできないから大丈夫だろ」

北「別にいいけど、いつ戻って来るんで?」

亀「春、それまでにはしっかりと桜花楼の顔になっていろよ」

北「あぁ」



顔を出す奴らは今までと変わらない、いや塚ちゃんが連れて来た旗本の息子2人とあの松崎とかいう百姓がいたっけ。

が、その翌日。

もう宮田とタマは、江戸を離れたんだろうな。

そう思いながら外を眺めていると。

ドタドタドタ!



番頭「いたか」

男衆「いません」

番頭「外を捜せ」

男衆「はっ」



んっ、何があったんで?



旦那「健永どこへ行ったんだ、クッ」

番頭「旦那さま」



千賀?

あいつが、忽然と姿を消してしまった事で郭内は大騒ぎとなっていてよ。

2日後━



五「マジ、それ?」

北「何処にもいないらしい旦那のやつ可哀相なくらいガックリしてしまってよ」

五「そっか俺も郁人たちと捜してみるよ」

北「頼む」



その行方は用として知れず、何故だかニカも顔を見せないまま日だけが過ぎていき。

藤ヶ谷、クッ

俺は毎晩、独り寝の寂しさにジッと耐えていたんだ。

そんなある日の夜、モゾモゾと布団の中に誰かがいる気配を感じ目を覚ますと。




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