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蜜蜂オヤジ。

第28章 ゆく年に…。

そうか…


『まあ… 思い残すことないよな…。』
俺は志帆の手をギュッと握って
やけに長い階段を昇りはじめた。



階段を昇りながら
俺は
志帆がなくなってからの
およそ1年間の出来事を
ポツリポツリと話した。

息子たちの嫁
桜さん…
柚さん…
さらに菫さんとも関係を持ってしまったことを
不思議と罪悪感にとらわれないで話せた。


志帆も俺に
今まで俺が生きていた世界では
おそらく俺自身が
受け入れられなかったであろう
息子たちの真実を
不思議に嫉妬もなく
受け入れることができた…。


……そうか。
薫と海は俺の本当の子供じゃなかったんだ…

薫は
志帆と俺の兄だった大吉との間の子供。
海は
志帆と俺の父親だった大幸との間の子供。

唯一、忍だけが
俺と志帆の間の子供だったんだ…。

それと…
俺が桜さんと首絞めセックスで
あれだけ興奮していたのは…
俺が見ていたからだったんだ…
昔…
志帆が俺の父親の大幸に迫られて
首絞めセックスでイカされている姿を
実は俺は
仕事で遅くなって帰宅した夜…
偶然目にしていたのだ…。


俺はその事実を受け入れられなくて
その瞬間の記憶を
死ぬまでなくしたままだったんだ…。


『じゃあ…。俺が桜さんと首絞めセックスで興奮してイク瞬間に、志帆の顔を思い出していたのは… 潜在的に閉じ込めた意識がフラッシュバックしていたってこと…?』

コクりと志帆が頷いた。


『あの瞬間、大作さんが私のことを思い出してくれて…嬉しかったわ。』
志帆は階段の途中で足を止めて
俺に微笑んだ。

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