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ダメビト図鑑

第6章 コレクション03 ジュン君~愛しき痴漢さん

そのひ弱な男性は

イオリが住む町に偶然にも
先月から暮らしていた。
今まで勤めていた会社から
リストラされて
30過ぎて資格もなく就職活動に苦戦しながらも
やっと会社に採用されたからだ。

そんな折
その男はイオリを見つけた
ついつい
いけないことと知りながら
イオリをここ数日
男の通勤時刻とイオリが同じだったため
駅で待ち伏せして
イオリを見つめていたらしい…


……やっぱり
私が感じた視線は存在していたんだ…
気のせいじゃなかったんだ…。


そして今朝
男は我慢できず
イオリと同じ車両に乗り込んだ…
イオリの真後ろに……


揺れる車内。
時おり仄かに漂う
イオリの髪の甘い香りに
男は亡くなった妻を思いだし…
切なくて…
懐かしくて…

気がついたらイオリのお尻に触れていたらしい


『すみませんでした…。あの時はもう自分の感情を抑えきれず… …目の前に妻が…!って思い込んでしまったんです…。そのことだけは伝えたくて…』
と男はイオリを見つめて
反省の色をした瞳で語った。


男性一人で育ち盛りの子供を育てるのって
大変だよねきっと…。
うちの岳人なんか
絶対に章剛の面倒なんて見ないよね…
一緒にチンポコ同盟だ~って
ふざけるだけ
ふざけてさ……

この人
頑張ってるんだよね…
まだ亡くした奥さんの面影を引きすりながら…


チクン!!
イオリの胸が痛んだ…。

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