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ダメビト図鑑

第6章 コレクション03 ジュン君~愛しき痴漢さん

『でも、どうして私が、こんな仕事してるの気づいたの? …電話のタイミングや私の名字を知ってるなんてビビったよ…』
とイオリは
つとめて優しく男に尋ねた。


男は
まずイオリの名字を知った経緯を答えた

それは数日前…。
一度だけでも
イオリに声をかけたくて
たまらなくなったその男は
意を決して
イオリに声をかけようとしたことがあったらしい
『朝からひどい雨ですね…』と…
しかし声をかけようとしたとき
男の前に割り込んだ女性が
『あら!川上さん!』と
声をかけたそうだ…。

…あ!
そうそう私、あの日は朝に駅のホームで
隣の寺山さんちの桜さんに
挨拶をされたっけ…。


そしてイオリがエルフラージュで
働いていることを知ったのは
今朝の痴漢騒動の一件で
ちゃんとした形で
見逃してくれた礼を伝えたかったからだと
男は言った…。


『でも、川上さん…ズンズン先に足早に歩いてくし、声をかけそびれて… …そしたらエラフラージュってお店に入っていったし…。 あ…これってやっぱりストーカー行為ですよね…』
男はそう
自嘲ぎみに呟いた…。


……ウフッ。なんだかこの人
タイミング悪いなぁ…
だけどやっぱりいい人だと思う…


イオリは
その男に囁いた

『もういいですよ。誠意は十分伝わりました。でもせっかくこうして再会?したんだから…遊んでいきません?まだ時間あるし…ねっ?』

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