テキストサイズ

僕ら× 1st.

第5章 伊織の婚約者 --Shu

「あの、アル先パイって、花野のこと好きなんですよね?」

花野ちゃんの友だちは、いきなり核心を突いてきた。
もうバレてんのか?

「さあ、どうかな?」

本人でもないのに、ここで肯定なんてできねぇ。

「アル先パイ、火曜と金曜、ここで寝てますよね。花野がピアノを弾いている日だけ。私、体育館で毎日部活してるから、よく見えるんです」

そりゃ、わかるよな…。
俺は、ははっと笑ってごまかした。

「ちょっと憧れてたんだけどな……。柊先パイ、アル先パイに伝えていただきたいことがあるんです」

「いいよ、何?」

アルの気持ちを知ったところで伝える?何をだろう?

「花野には、来年の夏が来るまでに告白した方がいいですよって」

「来年の夏?どうして?」

ああ、自分の気持ちを伝えるんじゃなくて、アルへのアドバイスか…。

でも、不思議なことを言う。
中学3年の俺たちが下級生に告るなら、来年の3月までだろ?
それを越えたら、いつだっていいじゃないか?
まさか花野ちゃん、留学でもすんのか?転校か?

と思っていたら、ここで、よく知ったヤツの名前が出てきた…。

「速水が帰ってくるからです」

「え……速水って、速水伊織?」

伊織がアルの告白と関係あんのか?ということは…。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ