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僕ら× 1st.

第5章 伊織の婚約者 --Shu

「マコちゃん、ありがとう」

「いえいえ、こんなことでもない限り、おふたりとお話しする機会はありませんもん」

昼を過ぎた俺の手には先ほど、花野ちゃんから渡された紙袋が揺れる。

花野ちゃんが、アルに渡そうとした時点で、俺とマコちゃんは2人を残して、階段をおりた。
アルが奇想天外な話題を振るかもしれないが、それは自己責任でやってほしい。

「アルのこと、いいの?」

「憧れなだけですから。それに、アル先パイってウワサでは、女のコに厳しいって聞いていましたが、そんなこと全然なくて。花野にぞっこんなのがすごくわかって、応援したくなるんです」

「いいコなんだね。マコちゃんは」

「……でも、花野には速水がいるから、きっと…。すみません。そこまでは、私もどうしようもなくて……」

「伊織のことは、アルには言ってない。伊織にも今の状況を教えてない。俺は、どっちも応援したいから……でも、花野ちゃんは伊織を好きなんだね?」

「そう思います。花野は速水のこと、家族みたいに思ってるみたいですけど、気づいてないだけだと思います。速水の話をするときは、すごく嬉しそうですから」

だよな。
俺にネックレスのことを聞かれたときの彼女を思いだす。

「そうか。今日は世話してくれてありがとう。マコちゃんも何かあったら俺らを頼ってね」

そう言ってそれぞれの校舎に戻った。

さて、あのボッケーはうまくやっているかなぁ……。

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