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僕ら× 1st.

第6章 卒業まで --Ar,Mkt

あーあ。
花野ちゃんの顧問に三行半を突きつけられてしまった……。
まあ、いたしかたない。

俺だって、あいつと女のコのことで争いたくねぇ。
負けるのがわかってるからじゃない。

あいつと初めて出会ったのは、2年ちょっと前。
親父から突然存在を知らされ、弟なんて邪魔くさいと思っていた俺だった。
が、泣き腫らした目で俺に笑いかけてきたあいつを見て、こいつは守ってやらなきゃなって思ったんだ。

花野ちゃんといい、伊織といい…俺、健気な涙に弱いのかな?

あいつは、俺のたったひとりの弟。

そのあいつの大切なコに、横恋慕なんて冗談じゃねぇ。

麻薬のようなこの甘い癒しにもっと浸かっていたかった……けれど。

音楽室に遊びに行くのは、今日限り。
夏までに気持ちを片付けよう。

もし無理でも、花野ちゃんとあいつの2ショットを見たら、否応なしにあきらめられるだろう。

今日で、サヨナラ……。
だけど、サヨナラなんて言いはしない。

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