
僕ら× 1st.
第6章 卒業まで --Ar,Mkt
俺は花野ちゃんのピアノが鳴り終わるまで、外にいようと思った。
クルマに乗りこむまでの道を一緒に歩きたかったから。
今日が最初で最後だから……。
根岸がカバンを置き去りにしたまま帰ってこない俺を気にかけて出てきたが、「そのうち戻るから」と花野ちゃんに伝えてもらった。
彼女にそう話したあと、根岸は「職員室にいる」と言って出ていった。
"ABCソングのような曲"を聴きながら、音楽室前で立たされ坊主をしている俺を気にかけて、柊がやって来た。
こいつには、まだ知らせないほうがいい。
俺とあいつの間にはさまれるなんて、やるせなくてしんどいだろ。
いずれわかるが…。
それでなくても、柊は…。
柊の彼女は、もうずっと病室で動かない。
毎日話しかけているようだが、反応のない彼女……それは一体どんな気持ちなんだろう。
こいつに比べれば俺なんて、どうってことねぇ。
好きになったコが弟の婚約者だっただけだ。
こんなに彼女に近づけた。
それも、柊のおかげ。
「何してる?さっきの教師に追いだされたか?」
「うーん、少し風に当たって考えてる。今日でしばらく会えなくなるから」
「会えなくなるから、入れよ?」
「今日は、兄貴の手前まで一緒に帰りたいな…って」
「それでこんなところで待ってんのかよ」
柊は、あきれたような憐れみをもった顔で俺を見た。
クルマに乗りこむまでの道を一緒に歩きたかったから。
今日が最初で最後だから……。
根岸がカバンを置き去りにしたまま帰ってこない俺を気にかけて出てきたが、「そのうち戻るから」と花野ちゃんに伝えてもらった。
彼女にそう話したあと、根岸は「職員室にいる」と言って出ていった。
"ABCソングのような曲"を聴きながら、音楽室前で立たされ坊主をしている俺を気にかけて、柊がやって来た。
こいつには、まだ知らせないほうがいい。
俺とあいつの間にはさまれるなんて、やるせなくてしんどいだろ。
いずれわかるが…。
それでなくても、柊は…。
柊の彼女は、もうずっと病室で動かない。
毎日話しかけているようだが、反応のない彼女……それは一体どんな気持ちなんだろう。
こいつに比べれば俺なんて、どうってことねぇ。
好きになったコが弟の婚約者だっただけだ。
こんなに彼女に近づけた。
それも、柊のおかげ。
「何してる?さっきの教師に追いだされたか?」
「うーん、少し風に当たって考えてる。今日でしばらく会えなくなるから」
「会えなくなるから、入れよ?」
「今日は、兄貴の手前まで一緒に帰りたいな…って」
「それでこんなところで待ってんのかよ」
柊は、あきれたような憐れみをもった顔で俺を見た。
