テキストサイズ

僕ら× 1st.

第6章 卒業まで --Ar,Mkt

これからどうしょう。
無理矢理キスするわけにいかねぇし、かといってこの情況をどうつくろおう……。
ああ、根岸との約束…は、どうでもいいけど。

ああでも、花野ちゃんの唇、ぷくっと艶があって美味しそう……。
なんて見入っていると。

ガンッ!

「痛ってぇ!」

柊が金属の蓋で俺の頭をはたいた。
響く派手な音ほどは痛くはなかったけど…。

「頭、大丈夫か?」

わざとらしく柊は問う。
お前、口元ヒクヒクして笑いをこらえてるだろ?

「お前が殴ったんだろ?」

柊の顔に右ストレートを寸止めすると、柊も俺の顎に右フックをトンッと当てる。

「いーや。その前からおかしかった!」

「自覚ねぇよ!」

柊の頸に腕をまわし体重をかけてヤツの体勢を崩す。

「ほお?重症だな」

そして花野ちゃんは、俺らのやりとりを茫然と見つめている。

柊が俺にブリッジをかけ、天地逆転したところで、花野ちゃんと目があった。

「……キレイな花だね」

キスしたいくらい、好きなんだ。
そう…俺はキミがほしいんだ。

柊が俺の顔上で指を鳴らす。
……今か。

「花野ちゃん、好きっ……っはくしょっ!」

俺はごく真剣に打ちあけたんだけど、花野ちゃんはお腹をかかえて声を押し殺して笑うんだ。

そう、それでいい……。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ