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僕ら× 1st.

第7章 伊織帰 --Ior,Kn,Ar

「そこ!いちゃつかないで!」

いつの間にか戻ってきていた小津が口をはさむ。
ていよくフラれたな。
やや不機嫌な顔に、ことの成りゆきが見てとれる。

「んだよ、ちゃんとやってるだろ?」

「見せつけられるこっちの身にもなれっつーの」

事務員によほど邪険にされたのか、紙屑を僕に投げつけ始める。

「喋ってるだけだろ?」

床に落ちてくる紙屑を、小津に向けて指ではね飛ばす。

「人前でふたりの世界に浸んなって」

いや、お前いなかったし。
別に浸るほどの話もしてないし。

「お前、土足で踏みこんできてよく言うよ。タコ」

「何で私が"タコ"なのよ?もう、アル先パイと血がつながってるとは思えない!花野も何とか言ってやってよ!」

一度に何人の男に好意向けてんだよ?って意味だよ、見境なく。

アル兄の口の悪さに比べたら、僕のほうが数倍マシと思うけどな…。

一応、小津は女子だし彼女の前でもあるので、手を抜いて反撃していた僕のまわりは紙屑だらけになる。

「ふたりとも、手を動かそうね」

彼女は、ニコニコして小津の怒りをかわす。

タコの場合は足だよ?と思ったけど、大人げないので止めておいた。
なのに、小津はまだぶつくさ言っている。

「花野のことは"ハニィ"とか"ショコラ"って呼ぶくせに!速水のすかぽんたん」

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