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僕ら× 1st.

第7章 伊織帰 --Ior,Kn,Ar

~宮石花野side~

あの日…パパとママが星になった日。
彼と泣きじゃくって、いつのまにか眠ってた。

人間があんなに冷たくなるなんて。
パパとママの形はしていても、もうこのなかにはいないんだって思った。

"器がなくても、心はどこかを漂っているんじゃないかな……僕たちの傍で、僕たちのなかで。思いおこすと、温かくなるだろ?"

彼の言葉が心強く、どんな嫌なことも彼がいてくれれば、乗り越えられる気がした。

音に溶けこんで、パパとママが笑っている。
ピアノを弾くたびに、パパとママは私の傍に来てくれる。

そう思って、今まで弾いてきた。

だけど。
彼が留学すると聞き、不安が押しよせた。
どうか、無事に戻ってきて。
願うしかなく。

彼に渡したブレスに祈りをこめた。
パパとママではなく、彼に届くようにピアノを弾くようになった。
自己満足でも、何かしないではいられなかった。

リル…伊織君。
早くあなたの笑顔に会いたい。

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