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僕ら× 1st.

第7章 伊織帰 --Ior,Kn,Ar

「そうよ。私はヤツの弱味をガッチリ握ってんのよ」

マコは、「ひひっ」と何か企んでいそうに笑う。

「そうなんだ…。仲良いと思ったら、そんなつながりがあるのね」

マコじゃなかった?…ちょっとショック。
マコがリルの好きなコを知ってることも、ちょっとショック。
リル、私にも好きな人のこと教えてくれないかなぁ?

マコが写真を撮れるってんなら、そのコはバレー部なのかな?

「心の底から仲良くないわよ。そんな誤解しないでよね?」

"心の底から"って、そんな否定しなくても。

「ねぇ、そのコもリルを好きなの?」

リルの好きなコはリルを……。

「と、思うんだけど?」

「そうなんだ。うん、よかった」

よかったね、リル。

私より大人なリルは、やっぱり先を歩くのね。

「……あんた、速水のこと好きなんでしょ?」

マコが私の顔を覗きながら尋ねてくる。

私?
うーん、私はどうなのかなぁ?

「まあ好きよ?でも特別な好きってよくわかんないなぁ」

「もしも速水に彼女ができたら?今までみたいにくっついてられないわよ?」

「くっついてはないけど、それはちょっと寂しいかも」

でもお兄ちゃんにも彼女はいるけど、兄妹の関係は変わらないもの。
リルだって……。

「それが"好き"ってことよ?」

「うーん?」

この気持ちは特別のたぐい?
お兄ちゃんたちとどう違うんだろ?

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