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僕ら× 1st.

第7章 伊織帰 --Ior,Kn,Ar

つと思いかえす。

この1年間、何度も何度もリルが暮らす空を見あげた。
リルの町の天気予報地図を眺めたりもした。

あの空の下に、あの土の上に、リルの鼓動が聞こえる場所がある。
そう思うとがんばれるから。

星の王子さまがバラの花を想う気持ちは、こういう感じかなぁと思ったんだ。

気づいてないんだろうなぁ。
間接キスも、手をつなぐことも、私はドキドキしちゃったんだよ。

もしかしたら恋?と思ったけど、でも私。
依田君に傘をさしかけられたときも、吉坂先パイにじっと見つめられたときもドキドキしたもんなぁ。
ともすれば、マコを抱きしめたくなっちゃったこともあるし。

まだまだひとりに絞れないなんて、"好き"とはいえないよね。

それに、リルには好きな人がいるから。
もしこれが恋だとしても、これ以上本気にならないようにしなくちゃね。
これ以上、自分の気持ちに気づいてはいけないの。

遠い昔にリルとしたおままごと。
シロツメクサの花で作った指輪を交換した。

花言葉は"約束"と"幸福"そして、"復讐"。

リルは覚えてるかな?
でも私、約束が反古になっても復讐したりなんてしないから。

私は姉として傍にいられたら、それで充分。
今までどおりの関係で充分。

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