テキストサイズ

僕ら× 1st.

第7章 伊織帰 --Ior,Kn,Ar

考えごとをしながらプリントを進めていると、スマホが光ってラインの着信を知らせた。

「あ、ウワサをすれば」

「速水?」

「うん。あれ?うちに来てるみたい。『晩ごはんは、おそうめん……。夜に星を見に行こう』だって」

そか。
そろそろ流星群。

リルと私は、毎年のようにお兄ちゃんとともに星空観察をしていた。
夏のペルセウス座流星群と、冬のしし座流星群。

星が流れるのもだけど、普段はそれぞれ眠っている時間にそろってお出掛けするのが楽しくて。

「わぁ、告白タイムね」

マコったらさっそく、私を冷やかすんだから。

「そんな、私しないよ」

リルのことは、普通に好意を持ってるだけ。

それに好きなコがいるってわかってるのに、そんなことしたら変に気まずくなるだけじゃない。

「結果を聞かせてね?」

そんなキラキラした瞳で言われても。

「うん。マコは夜は難しいかな?」

お兄ちゃんもいるんだけど、どうせならみんなで楽しく過ごしたいな。

「そうね。私が入って行ったら速水の反応が恐ろしいからやめとくわ」

リルが恐ろしい?
弱味を握ってるのに?

「マコのほうが強そうだけど?」

これは絶対にそうだよね。
たいてい、リルのほうが身を引いてると思うの。

「ヤツより優位に立つには、さがらなきゃいけないときもあるのよ」

優位……、ふうん?
よくわからないけど駆けひきがあるのね。

一辺倒ではないマコに感心していると、そこへ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ