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僕ら× 1st.

第7章 伊織帰 --Ior,Kn,Ar

開け放したドアから、階下のモニター前で喋る声が聞こえてくる。

「うわっ!あんた、何の用よ?」

「よぉ。宿題、教えてほしい?」

この声、リル?

ガチャっと玄関のドアを開ける音。
すぐにマコの苛立ちの声が……。

「あんたは押しかけ講師か?ショコラの家にいたんじゃないの?」

「荷物を置いてきたんだ。で、もうできたのか?」

「来るなら知らせなさいよ!」

「知らせたらお前、来るなって言うだろ?」

「そりゃそうよ!誰が休日まであんたの顔を見たいと思うのよ!」

「別にお前に会いに来たわけじゃない」

「わかってるわよ。グダグダ言ってないであがったら?…国史教えてよ?」

「遠慮なくお邪魔します。はい、おやつ。余計なこと吹聴してない?」

「それが心配でやって来たんでしょ?」

トントンと階段をのぼる音。

先に顔を出したのはマコ、次いでリルがニコっと私を見るけど、そのままマコと言いあいを続ける。

「花野、来たわよ。偏屈男が」

「んだよ?頑固岩女が」

「頑固はまだいいけど、岩女って何よ?」

「あ、失礼。岩男だったか」

打てば響くようなこの会話、憧れるなぁ。

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