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僕ら× 1st.

第7章 伊織帰 --Ior,Kn,Ar

マコの前を通りかけたリルは、足を引っかけられて体勢を崩す。

「ハニィ、元気?…くっ!何すんだよっ?」

「岩に怒るなんて愚の骨頂」

膝をついたリルを見おろして、マコは階下におりていった。

「リル、大丈夫?」

私だったらもっと派手に転んでただろうなぁ、と思いながらリルを覗く。

「……これくらい平気。宿題、はかどってる?」

顔をあげたリルは、笑顔で私の手元のプリントを眺めだす。

マコにやられて終わったのに、ここであとを引かないところが、リルのすごいところのひとつ。

「私は地理を取ってるから。ほかの宿題も、だいたい終わってるよ?あ、でも古典文学を教えてほしいな」

「いいよ。じゃ、それが終わったら残りの夏休みは遊べるね!フラウ、久しぶりに演奏しよ!」

そか。
留学してたからリルは宿題ないんだ。

「そうだね。今日はうちに泊まるの?」

「んっ。お兄ちゃんも帰ってくるし、ちょうどいいだろ?古典ってどこ?」

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