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僕ら× 1st.

第7章 伊織帰 --Ior,Kn,Ar

横に座って鉛筆を持ったリルは、要所要所に線を引いていく。
教えてくれてるせいかもしれないけど、何だか近すぎ……。

「長文読解ではイメージって結構重要でね。ほら、ここ。プラスイメージってマークをつけとくんだ。こっちはマイナスイメージ。したらおのずと流れが見えてくる」

私の顔を覗きながら教えてくれるんだけど、パーソナルエリアの狭さに気をとられて、リルの話がなかなか耳に入ってこない。
でも、距離をとるのも失礼な気もして、心持ち首を逆にずらした。

「こらっ、速水!私の部屋で変な空気作るな!あんた、花野の宿題なら今夜手取り足取り教えたげなさいよ!」

リルのぶんのお茶を持って戻ってきたマコが、グラスをゴツッとテーブルに置く。

「じゃ、ハニィ。そんな感じで読んでみて?……さ、オズマの宿題早く仕上げて帰ろ」

脚を組みなおしたリルは、マコに首を向けた。

「オズマじゃないわよ!」

ふふ。
マコったら。
オズマっていったら"オズの魔法使いシリーズ"に登場する素敵な姫よ?いいじゃない。

「いいから早く見せて。何がわかんないって、社会科?そんなの調べりゃすぐできるだろ?」

リルが離れてくれてほっとしたけど、少し残念な気分。
私ったら……。

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