テキストサイズ

僕ら× 1st.

第7章 伊織帰 --Ior,Kn,Ar

親父の部屋に向かう途中にある中庭横の廊下では、すでに黒煙が立ちこめていた。
大きなスチール缶のなかでパチパチと音がする。

「遅かったか…」

俺は廊下に膝をつく。
そのとなりで柊はさも楽しげに手をかざして…。

「おお、よく燃えるもんだな」

「…」

ドタドタと走る音が近づいてきて、追いついた伊織が声をかけてくる。

「何があったの?」

風呂上がりみたいで、裸の上半身にタオルをかけている。
濡れた髪からしずくがしたたっている。

ふうん。
急いでいても、そのブレスはつけるんだ……。
そんなにだいじなものなんだ……?

「伊織ちゃん、セクシー」

そんな柊を伊織は冷ややかに無視する。

「親父のとこ行かなくていいのか?…何を燃やしてんの?」

「多分、俺のPC…」

もう二度と保存しないうちにダウンしないように、地球規模に容量アップした俺の渾身の……。

「ええっ、あんなの燃やして大丈夫?変なガス出ない?」

「そっちの心配かよ?」

あんなのとは何だ?あんなのとは!
ったく、どいつもこいつも。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ