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僕ら× 1st.

第7章 伊織帰 --Ior,Kn,Ar

親父の部屋まで行ったが、すでに出掛けたあとだった。
俺はさっときびすを返し、走りだす。

「おい、アル!どこ行くんだよ?」

背中から柊の声が聞こえたけれど、そんなの答える優しさなんて出てこねぇ。
知りたきゃ、ついてくりゃいい。


綺麗に片付いたリビングには、俺が日夜苦心して組みあげたあれらがなくなっていた。

「やられた…」

「すっきりしたなぁ」

「で、親父の用事って何だったの?」

「ヒマつぶしだろ。あんのクソ親父め!てか、柊!早く知らせろよ!」

やっぱり伊織の顔を見れないで、俺は吐く。

「5秒で来いなんて、もともと無謀だろ?親父さんのことだし、待つ気なんてサラサラないって。点火の秒読みを楽しんだだけだって」

「今からでも取りだせば、使えるパーツあるんじゃない?」

上半身裸男は窓から見おろし、「ほら、あそこに火箸があるよ」と庭の一角を指して能天気に宣う。

「機械は熱に弱いんだよ!」

常識で考えろ!と怒鳴る前に、柊がさらに悪どい提案をする。

「じゃ、水ぶっかけたら?」

「水にも弱いんだ!それくらい知ってるだろ?」

「弱点多すぎだな」

もう、まともに相手するのは疲れる。

そうだ、弱点は多い…それは、人間も同じ。
でも、可能性は広い…耐火耐熱防水か。

いやフツー、PCを火にくべるヤツなんていねぇだろ?

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