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僕ら× 1st.

第7章 伊織帰 --Ior,Kn,Ar

ノックしたけど、返事がない。
気配はするんだけどな…具合悪い?

伊織の部屋の前で針金を出し、鍵を開ける。
カチャ、よし。

「おい、イオ」

「っ」

ドアの正面右、自分のを握りしめてる伊織と目があった。

「お前……元気そうだな」

柊に落ちこんでるって聞いたから、様子見に来たのに……。
返事くらいしろよ。

伊織のオカズ本を覗く。
ふうん……フツーだな。
彼女にも似てねぇし…よかった。

「何の用?」

タオルで隠してヤツは尋ねる。

「いや……」

「スンドメなんだけど」

冷めたまなざしで俺を見据える。
赤面しないんだ……いい度胸じゃね?

「俺にかまわず続けろ?」

「はぁ……」

暇なので伊織の本棚を眺める。
お?アルバムじゃね?

手を伸ばし、パラッと開く。

「っのやろ……」

あ、花野ちゃんだ……。
いいなぁ、伊織は。
こんな小さいときから彼女を知ってんだ。

「……っはぁ…………おい、勝手に見んな!」

「もう済んだの?」

服を整えたヤツは押さえながら俺をにらむ。
飲みこんだのか…そりゃ、悪かったな。

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