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僕ら× 1st.

第7章 伊織帰 --Ior,Kn,Ar

「集中できるかよ!……返せ!」

「……このコがフィアンセだな?」

「そうだよ。返せ」

手を伸ばしてくる。

「その手で触んな」

んな、生臭い手で彼女を触らせねぇよ。

「っ……言っとくけど、俺のだからな?それ以上、何も見んなよ?」

伊織は俺をにらみつけたあと、ドンドンと足音を響かせて出ていった。
はは、機嫌悪ぃ。

それにしてもアイツ、"俺"って言えるようになったんだなぁ。

手を拭きながら仏頂面で戻ってくると、俺の手元からアルバムをふんだくった。

「俺、そのコ知ってるよ。宮石花野ちゃんだろ?俺らの学年の間でも、可愛いって評判」

昨年から俺が知ってるだけでも、3人に言い寄られてる。
俺をあわせれば4人だ。

「取られないうちに口説き落とせ」

じゃねぇと、俺が引いた意味がなくなる。

「そりゃ、兄貴くらいカッコよかったら」

俺は歯牙にもかけられなかったよ。
それに、男も女も中身だろ!

「どアホ。お前、彼女から好意貰えてんならガンガンいけよ!」

伊織のブレスを指しながら訴えた。
早く俺に、彼女をあきらめさせてくれよ!

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