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僕ら× 1st.

第8章 le journal --Ior,Ar

~速水伊織side~

可愛い弟……そう言われた。
恋愛対象外、そう通告されたも同じ。

その後の涙。
僕に姉弟関係を否定されたことがショックだったらしい。

告白して通じあったと思っていたのに。
彼女はうつむいたままで。

彼女の言う"好き"は僕と同じものではなかった。

彼女はどんな男に反応するのだろう。
優しくてカッコいい兄貴たちに囲まれて、麻痺しているのだろうか。

きっと今の彼女にとっては、家族が最高位。
それなら、弟と言われる僕はかなり良い位置なのかもしれない。
いや、でも姉貴ってガラ?
ここはせめて兄妹だろう?
それでも僕は反論を唱えるけれど。

そんな僕の考えが伝わったのか、ふたりで立ちあがり先に歩きだそうとしたとき、うしろから彼女が僕のシャツを軽くつかんでこう言った。

「弟がダメならお兄ちゃんでもお父さんでもいいから、傍にいたいよ。リルがいなくて寂しかったの。会いたかったの。ねぇ、リルフィー」

突然のことで驚いた。
お父さんって……。

でだしは余計だけど、それに続くセリフは僕の心をよみがえらせた。

「僕もすっごく会いたかった……好きだよ、シュガーフラウ。ずっと傍にいる」

キミは僕の可愛い妹(いも)、僕はキミの兄(せ)。

僕が一人前になったら、そのときは妹兄(一緒)になろうね。

振り向いてそっと抱きしめた。

もう、恋なんかこの先も知らなくていい。
それなら、キミは永遠に僕のだから。
シロツメクサの約束は、継続中。

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