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僕ら× 1st.

第8章 le journal --Ior,Ar

渡した香水箱をかぎながら、柊兄は僕にニッと歯を見せる。

「お前は何を貰ったの?」

「ドラムスティック」

正確にはドラムブラシだけど、非音楽族にはわかりにくいだろうからな。

「ふっ」

「何だよ?」

「いや、スティックならお前、1本持ってるのにな。自前の……未使用だって?」

この男は、何を言ってもエロにつなげられるのか?

「何だって?差しこむぞ?」

「おー、ヤったれ!」

横で楽しそうにカラカラ笑うアル兄。
ごめん、僕はアル兄の秘密を覗いてしまった。

こないだから気にはなってたんだ。

指導室では目を見張る対応だった……。

もう、あの部屋でのすべての発言が、今まで僕の知っていたアル兄じゃなかった。

兄貴の成長は、彼女の影響か……?

この日から、兄貴が優しい変化を見せるたび、僕は兄貴のなかに彼女を見るようになった。
兄貴がそれほどまでに好きになったコを、僕は……。

ブレーン目指すなら、これくらいポーカーフェイスで朝飯前にできなきゃな。
日々修行、日々研鑽…自分に言い聞かす。

兄貴、早く他のコ見つけてくれ……。

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