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僕ら× 1st.

第9章 トリオ --Shu,Ior

それからはコンスタントに仕事を任されるようになる。
情報収集能力を買われた…運、悪く。

アルと俺は感情なく淡々とこなす。
深く考えたくないから、わざとはずした話題で盛りあがる。

「大学は工学部か?」

今度のリストはどうも金銭関係のようだ。
対象者の誰もが、金融ブラックリストに名を連ねている。

「そうだな。生の柔軟な意見もほしいし。でも、理学も取りてぇ」

アルはカタカタとキーボードを弾く。
そんなに正確に叩けるんなら、ピアノも練習したらできるかもな…違うか。

「2つ取れば?伊織もそんなこと言ってるよな。あいつは、経済と経営だっけな」

モニターに数字の羅列が広がっていく。
見てもさっぱりなので、俺は再びリストの文字を読む。

「工学か理学ね。すぐそこだな」

対象者について親父さんが欲しがる情報は、家族と健康状態……。
嫌な予感しかしねぇ。

「ホントは医学も取りてぇ……お前、取らねぇ?」

喋りながらも、アルの手の動きは止まらない。
オンリーワンタスクの方が効率はいいだろうけど……こんな仕事、他に気をそらさねぇとやりたくないよな…。

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