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僕ら× 1st.

第9章 トリオ --Shu,Ior

「俺はバリ文系だよ。心理か社会かな。あとは言語聴覚の分野だけど、大学じゃなくても学べるし。資格じゃなくてスキルが欲しいだけだし」

「じゃ、やっぱ一緒だな。あわせてんじゃねぇよな?」

「よし、入れた」とアルは呟く。
院外持ちだし禁止のデータが、サクサク手に入る。

「だってお前、敷地外は医学系じゃないか。俺には無理」

「……離れてると学祭でもなかなか会えねぇな」

リストの氏名を片っぱしから検索する。
ヒットしたら、ページをコピペでプリントアウト。
多くの病院や医院に対して、この操作を繰り返す。

「それは、お前の話?伊織の話?」

「……ん、まあな」

わかってるよ。
お前が妹だと思いこもうとしていること。

歩いていると、150センチ前半の髪の長いコに反応する。
そして、彼女じゃないと気づいて軽く息を吐き、自分を嘲るように口角をあげるんだ。

わかってるよ。
お前の、気持ち……。

この3日後の深夜に、作業は終了した。
だけど俺たちは、報告を半月遅らせた。
それが何の意味もなさないことを、わかっていたけれど。

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