
僕ら× 1st.
第9章 トリオ --Shu,Ior
***
年度末、午後に降った淡雪は痕跡を残さず、そろそろ薄手のコートを準備しなきゃなと感じる夜。
追いコン顔出し後に遅れて入ったリビングは、ほんわかくつろぎムードだった。
まず、片隅のコタツに寝転んで本をめくっている伊織と目があう。
ヤツの前には分厚い辞書…辞書って読むものなの?
「イオが淹れる茶はうめぇなぁ」
ジャージのアルは、そのコタツに背を丸めて入っている。
「それ、ジンジャーエールだからね」
身体を起こしながら、伊織は中身を暴露した。
茶じゃなくて、炭酸なのか?
「だってお前、こんな土のゴツゴツしたコップで飲まされたら、すべてが茶に変換されるだろ」
わかる気がするよ。
何でまたそんな湯呑みに注いだんだ?
どうでもいいけど。
「見た目って予想以上に大切だよね」
そんなアルを見て、うんうんとうなずいている。
「実験しなくてもわかるし!お前、俺で試すなよ!」
俺も湯飲みに、入った炭酸に興味がわき、アルのコップに手を伸ばす。
「どれ?…くっ、もう口触りから茶だろ!」
わかっていても馴染めない。
「ひでぇんだよ?こいつ。"季節外れに八十八夜"とかわけのわかんねぇこと歌いながら俺の前にこれ置いたんだぞ?」
「俺、吹きそうなった」とアルは愚痴る。
ははは、いつものバカ兄弟完全復活なんだな。
めでたいじゃないか。
アルが1人で、からまわってただけだけど。
さすが、"プチ参謀"伊織だな。
年度末、午後に降った淡雪は痕跡を残さず、そろそろ薄手のコートを準備しなきゃなと感じる夜。
追いコン顔出し後に遅れて入ったリビングは、ほんわかくつろぎムードだった。
まず、片隅のコタツに寝転んで本をめくっている伊織と目があう。
ヤツの前には分厚い辞書…辞書って読むものなの?
「イオが淹れる茶はうめぇなぁ」
ジャージのアルは、そのコタツに背を丸めて入っている。
「それ、ジンジャーエールだからね」
身体を起こしながら、伊織は中身を暴露した。
茶じゃなくて、炭酸なのか?
「だってお前、こんな土のゴツゴツしたコップで飲まされたら、すべてが茶に変換されるだろ」
わかる気がするよ。
何でまたそんな湯呑みに注いだんだ?
どうでもいいけど。
「見た目って予想以上に大切だよね」
そんなアルを見て、うんうんとうなずいている。
「実験しなくてもわかるし!お前、俺で試すなよ!」
俺も湯飲みに、入った炭酸に興味がわき、アルのコップに手を伸ばす。
「どれ?…くっ、もう口触りから茶だろ!」
わかっていても馴染めない。
「ひでぇんだよ?こいつ。"季節外れに八十八夜"とかわけのわかんねぇこと歌いながら俺の前にこれ置いたんだぞ?」
「俺、吹きそうなった」とアルは愚痴る。
ははは、いつものバカ兄弟完全復活なんだな。
めでたいじゃないか。
アルが1人で、からまわってただけだけど。
さすが、"プチ参謀"伊織だな。
