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僕ら× 1st.

第9章 トリオ --Shu,Ior

「先生、貰える時間って何分くらいですか?」

猫舌の花野は、若鮎を先に食べてしまってから茶に手を伸ばす。

「15分だよ。3曲くらいだろ?」

「どう?伊織君」

そろそろと湯呑みを持ち上げるも、触れた口が熱かったようで、飲まずに机に置く。

「花野はやりたい?」

「桃湖と伊織君と一緒なら」

羽賀が先に呼ばれるのが気に入らないので、聞き流す。
僕はまだまだガキだな…。

「花野、ここはね……」

羽賀が僕をニヤッと見ながら、花野に耳打ちする。

「伊織君とやりたい!」

両手を僕に向けてニコニコで言う花野。
イマイチ色気ないな……。

差し出された両手を取り、ぐいっと引き寄せると、花野を自分の胸に押しつける。

「よし。じゃ、ここで……」

ニシッと笑って僕が冗談めくと、残る2人があきれて「おいおい」とお決まりの台詞を漏らした。

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