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僕ら× 1st.

第9章 トリオ --Shu,Ior

僕の不機嫌を無視して、羽賀は尋ねてくる。

「ねぇ、速水は毎日シたい?実際は週に何回シてるの?」

「何のことかわかんないな」

一回もシちゃいないと言えば、バカにされそうな。

「わかってるくせに。帰国子女とは聞いていたけど、あんたの振る舞いって本国離れしてるものね。ベタベタしすぎ」

……うーん。

「それによ?あんたって、サドでしょ?花野のこと、苛めて楽しんでるんだ?」

それは少しはそうかもしれないけど。

「俺は優しいよ」

「自分で言ってる。ま、いいわ。花野に聞くから」

「ふざけんなよ!花野に変なこと吹き込むな!本気で追い出すぞ?」

振り向いて怒鳴る真剣な表情が面白かったらしく、羽賀は笑いだす。

「言わないけど?じゃあ、教えてよ。一日何回?」

「それを聞いてお前、どうすんだよ?」

「彼氏がさ、何回もシたがるのよ」

「結構なことで。1日1箱くらいつきあってやれよ」

「あんた、そんな精力あんの?」

物好き同士、勝手にヤってろよ。

「1箱かぁ」と座ったままの椅子をクルクルと回した羽賀は、窓を向いて一時停止する。

「あ、花野だ」

よかった、この会話から解放される。
僕が立ち上がると、向こうから手を振る花野が小さく見えた。

フラウリィ、やっぱり可愛いなぁっ。

「とろけるような顔しちゃって。こないだ生理だって言ってたから、今日あたり最も危険な日よ」

花野の姿をとらえ、緊張がほぐれていく僕を嘲るように羽賀は際どい会話をほり投げる。

「あ?」

「赤ちゃんができやすい日。気をつけてあげなよ」

気をつけるも何も…。

そして僕は、自分の欲が増していくのをやり過ごしながら、花野を自宅に送り届ける。
いつか彼女の気持ちが、僕に追いついてくれることを信じて。

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