テキストサイズ

僕ら× 1st.

第9章 トリオ --Shu,Ior

腕と脚を組んでソファにもたれるアルは、訴える千夏さんを斜めに見る。

「本條千夏って言ったよな?あんたの父親って誰?」

リストに載ってた時は、そんなの気にもしなかったが。
この女性は……。
俺はアルのノートPCを開けてこれまでのデータ内を探す。

「知りません。妹が生まれてすぐなくなったとか。本條彰とか何かだと母が言ってました」

あいつじゃん。
本條め、知ってて黙ってるんだな。

「っは。やってくれるな、本條」

ヤツらの意図が見えてきたアルは膝を叩き、乾いて笑う。

「お前が女にキョーミねぇとか言うから」

俺かお前って、お前しかいねぇ。
食わず嫌いせずに女を抱いてみろってことだろ。

俺をチラッと見ただけで、アルは難しい顔で口をつぐむので、俺が質問を変わる。

「家族ってどこにいんの?」

「明日、合格なら会わせてやると言われました。妹だけでも助けたいんです」

……これは、生きてるかな?
データでは母と妹、そして母の内縁の夫。

それから。
俺たちが調べあげたデータでは、内縁の夫と母親はギャンブラーで、娘2人が身体を売って生活していると出ていた。

千夏さんの希望通り、姉妹だけでも助けてやりてぇけど。
父親の名前が真実なら、俺には姉貴が2人いることになる。

考えを巡らせ俺は尋ねる。

「諜報部員っていうのは、男をたらしこむのも入るけど、できる?」

そうすると、千夏さんは今までのしおらしい態度を一変した。

俺に近づき、じっと見つめて俺の頬を撫でてくる。
手は次第に下りて、顎、頚、胸と。
俺は彼女が触るに任せる。

「私、風俗で働いてたんです。どんなキモ男でも感じさせる自信はありますよ?でも、あなたみたいなイケメンなら最高です。あっちもそれなりにカッコいいけど、うーん?」

彼女が俺の下に触れそうになった時、"うーん"なアルが立ち上がる。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ