テキストサイズ

僕ら× 1st.

第10章 修旅 --Khs,Ior,Mkt

~依田晄志(コウシ)side~

彼女につきまとうその男、速水。
彼らの小学校時代をよく知るヤツらは、2人の間に割って入れるもんじゃないと言う。

その速水が彼女から一年間離れた。

彼女と一番仲が良いのは、自分だと錯覚した。
あいつが彼女の周辺に現れだしたのも、引き金になった。

結果はあっさりしたもの。

でも、彼女は俺を避けることなく、いつもの調子で接してくれた。
それは嬉しくもあり、悲しくもあり。

やがて、速水が帰ってくる。
彼女を連れて、屋上に行くのが見えた。

2人はどんな関係なんだろう。
後を追った。

仲良く屋上で街を見下ろす2人。
俺は並ぶ室外機の陰に身を潜める。

その時、階段に通ずるドアから、あいつが顔を出した。

俺に気づき、会釈。
俺が急いで会釈を返している間に、奥の2人を見つけ、「ふっ」と笑った。
そして、静かにドアを閉めた。

寂しそうな表情…あいつみたいなモテ男でも敵わないんだな、とフラットに思った。

長い間の後、速水は彼女を抱き締めた。
次第に力強く。

もう、帰ろう……そう思った矢先、俺の近くで人影が動いた。

新聞部…面白おかしくあることないことを書き散らす連中。
カメラ構えるその男に飛びかかっているところ、物音に振り向いた速水と目があった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ