テキストサイズ

僕ら× 1st.

第10章 修旅 --Khs,Ior,Mkt

その約半年後、部活動中の俺は校内放送で呼び出される。
「お前、何をしたんだよ?」と部員たちにからかわれるも身に覚えがなく、戸惑いながらドアを開くと、身長だけ高い教師と速水がいた。
ヤツは俺を見て、軽く口角を上げる。

俺に好意的な男、俺が彼女に気があるのを知らないのか?

新聞部のスクープ記事を前に、俺は私情を交えずに喋ることができたと思う。
だってあまりにも現実とかけ離れていて。

その速水と、中学3年で同じクラスになった。

飄々と生きているようで、そこかしこに神経を配っているような…当たり障りのない言葉の裏に、確固たる意思の力が見え隠れする。

興味深い男。

彼女に認められた男の本質をもっと知りたくて、近づいた。
ただの幼馴染みだけではない何かを、探りたくて。

俺がこの先を生きるための力を、俺に足りない何かを、彼から学べるのではないかと。
そして理屈抜きで気が合うと、そう思ったんだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ