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僕ら× 1st.

第10章 修旅 --Khs,Ior,Mkt

***

5月のクラスルーム。
修学旅行の班決めで、真っ先に声をかけた。

「速水、一緒に回ろうぜ」

「おう」

速水は俺を見て、ニッと笑う。

「女子どうする?」

班は男子女子2名ずつの計4名で行動する。

「お前に任せる」

全然興味なさそう……。
彼女と別クラスだもんなぁ。

「……お前、俺の好み知ってる?」

そう尋ねると、俺をじっと見てから視線を外す。

「何となく」

「じゃ、わかるだろ?」

俺の言葉を受けて、速水は女子ペアを見回す。
と、勢いよく後ろから速水に飛びかかる女子、小津。

「速水!組も!」

「ってーな!嫌だっ!」

振り向き、小津にくいかかる。

同じクラスになってわかったことのひとつ、速水は小津にオモチャにされている…。
速水の彼女が小津と仲が良いことが原因らしいが。

「何でよ?言うこと聞きなさいよ!」

「お前、うるさい。他のヤツと組めよ」

「ショコラちゃんに言いつけるわよ?」

ショコラちゃん?
ペットか?

「うっせぇ。お前、俺をこき使う気だろ?」

物腰の柔らかい速水が、ここまで毛嫌いするのも珍しい。
今までいいように扱われてきたんだな……。

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