
僕ら× 1st.
第1章 初期状態 --Ior,Shu
「で、柊兄が指示を出す?」
「指示系統はもっと上だよ」
当然、実際の商品管理や梱包発送などで動くのはグループの下請けで、俺が扱うのは顧客から入った情報。
ネット上の買い物や検索実績から興味対象の嗜好を収集しているだけで、ショップのほうはおまけだからな。
ターゲットやインフォーマント(情報保持者)候補の個人データを収集し、上司に報告するだけ。
それらを分析して部員らに情報を掲示・指示するのは本條(俺の父親)か小柴だ。
相手の好みがわかっていたら、接触者を送りこみやすくなるだろ?
ときには俺も動いているけど、具体的な工作はまだしたことがない。
「柊兄ならできそうなのに?」
「俺を過労死させる気かよ?俺の本業は学生だぞ?」
ニッと笑顔を伊織に向けると、ヤツはニシッと笑った。
ああ、その笑いかた、アルにそっくりだよ…。
「ゲームも?いろいろあるんだね」
「ああ。結構需要あるんだよ。俺には理解できねぇけどな」
伊織はタブをクリックして画面を変えた。
つぎつぎとページを繰り、操作を確認している様子。
やっぱこいつ、教えなくてもできそうだな。
コーヒーをひとくち飲みこんだあと、俺は業務内容のおおよそを続ける。
一見、興味の幅が狭いアルのほうが扱いにくいと感じる人が多いだろうけど、実のところは単純集中行動派のアルより、複雑分散思考派のこいつのほうが、よっぽどタチが悪いんじゃねぇか?
「指示系統はもっと上だよ」
当然、実際の商品管理や梱包発送などで動くのはグループの下請けで、俺が扱うのは顧客から入った情報。
ネット上の買い物や検索実績から興味対象の嗜好を収集しているだけで、ショップのほうはおまけだからな。
ターゲットやインフォーマント(情報保持者)候補の個人データを収集し、上司に報告するだけ。
それらを分析して部員らに情報を掲示・指示するのは本條(俺の父親)か小柴だ。
相手の好みがわかっていたら、接触者を送りこみやすくなるだろ?
ときには俺も動いているけど、具体的な工作はまだしたことがない。
「柊兄ならできそうなのに?」
「俺を過労死させる気かよ?俺の本業は学生だぞ?」
ニッと笑顔を伊織に向けると、ヤツはニシッと笑った。
ああ、その笑いかた、アルにそっくりだよ…。
「ゲームも?いろいろあるんだね」
「ああ。結構需要あるんだよ。俺には理解できねぇけどな」
伊織はタブをクリックして画面を変えた。
つぎつぎとページを繰り、操作を確認している様子。
やっぱこいつ、教えなくてもできそうだな。
コーヒーをひとくち飲みこんだあと、俺は業務内容のおおよそを続ける。
一見、興味の幅が狭いアルのほうが扱いにくいと感じる人が多いだろうけど、実のところは単純集中行動派のアルより、複雑分散思考派のこいつのほうが、よっぽどタチが悪いんじゃねぇか?
