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僕ら× 1st.

第10章 修旅 --Khs,Ior,Mkt

「ある部屋にコンドームが落ちてたんだ。使用済みの」

は?俺ら疑われたわけ?

「で、疑いは晴れた?」

「お前らならそんなヘマはしないな…」

これまで余裕綽々だった伊織の顔色がサッと変わる。

「待って…花野も昨夜いなかったの?」

ああ、それは一大事だな。

「目撃情報はないけど、お前ら守りあうだろ?まぁ、宮石はそんなコじゃないと思うけど」

「花野は自分の部屋にいたんだね?」

真剣な伊織に根岸が気圧される。

「お前が連れ出してないのならいたんじゃねぇか?」

「昨日21時過ぎに部屋の窓に見たっきりだよ。も、驚かすなよ。元気なんだな?」

「元気なんじゃない?俺は会ってないけど、特に何も聞いてない」

「おい、花野の荷物もこんな風に開いたのか?」

そう言えば、伊織って根岸にタメ口だな。
今や伊織の方が偉そう…。

「それは向こうの担任次第だ」

「あのさ、先生。こいつは何で呼ばれたの?」

と俺を親指で指す。

「いやぁ、竹崎と…」

「俺は誰ともつきあっていません」

「そか、すまん」

と、根岸のスマホが鳴り出した。
「お前ら待ってろ」と言って、離れて応対する。

電話を終えて戻ってきた根岸は、俺たちに両手を合わせて謝った。

「F組のヤツらだった。呼び出して悪かったな。あ、宮石じゃないぞ?」

「当然。じゃ、出掛けるね」

「お前、今日は宮石と行動するんだろ?2人きりになるなよ?」

その部屋を出ようとした背中に注意を受けると、くるっと向きを変えた彼は人指し指を立てて反論する。

「知ってる?先生。花野は1人にした方が危ないんだよ?」

「確かに……」

そして、俺たちは解放された。

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