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僕ら× 1st.

第10章 修旅 --Khs,Ior,Mkt

F組の2人と別れ、タクシーを降りて部屋へ向かう折、伊織が感謝の言葉を述べる。

「晄志、今日はありがとう」

「どういたしまして。ウブな彼女で大変デスネ」

「俺に気持ちがあるせいなら、それでいいよ」

うわ、ノロケてますな。

とその時、後ろから走ってきたクラスメイトが伊織の背中を叩こうとして、ヤツに腕を捕まれる。
流石の運動神経だな。

「速水、ゴムはきちんと処理しろよ?」

「ご丁寧にどうも」

腕を振りほどいて走り去る背中に、適当に返事をする伊織。
実際には何もしていないのに。
宮石の反応を見るまでは、俺もそんなこと信じちゃいなかったけど。

「何か、周りが低俗すぎて嫌になるな」

「世の中そんなもんだよ」

「くくっ。達観者伊織だな」

「そんな立派じゃないよ。俺はスノッブ」

俗物ってか?
同世代とは一線を画してると俺は思うけどな。

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