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僕ら× 1st.

第10章 修旅 --Khs,Ior,Mkt

「ううん。あれは何ていうか、風邪とかの予防なんだよ。トーマ君、少し咳してたから」

……はあ?

「夏風邪は長引くってゆうじゃない?3年生のみんなにうつしちゃったら大変だものね。私、最初はどうして伊織君がそんなに焦るのかわからなかったけど、考えたらそうよね」

あのうがいにそんな意味がついたんだ…花野的には…。

康史も"ん?"と微妙な表情をしたけど、切り換えて他の質問を始める。

「風邪予防?まぁ、それも大切だよな……で、宮石と速水は長いの?いつ出会ったの?」

「いつ?って、同じ日に同じ病院で生まれたんだものね」

「えへ。覚えてないけど」

そりゃそうでしょ…。
いや、速水なら覚えてるかも。

「へえっ、年季入ってるんだなぁ。今日、初めて2人を見たけどホント、ラブラブだよな」

康史にしみじみと言われた花野は、「そんなこと、ないよっ…」と目をキュッとつむって首を横に振った。

「今更照れないでよね」

"速水は花野が好き"…これはうちの学校の超常識。

顔と性格以外の全てが平均より秀でている速水を、いいなーと思う女のコがいないわけではない。

"速水には花野ちゃんがいるからなぁ"という諦めの台詞を私も幾度となく聞いた。

それだけ速水は花野しか見ていないから。

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