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僕ら× 1st.

第10章 修旅 --Khs,Ior,Mkt

去年の新聞部の交際報道で、更に公認となった2人なのに、まだ速水は花野に何もしていないなんて。
抱き締めてキスしているような写真を撮られておいて?
あれは、合成なの?

人前でも手を繋いだり、肩を抱いたりしているくせに?

だけど、相手がこの花野ならうなずける…。

「なぁ、今日は速水とキスしてないの?」

「え……まぁ」

今日どころか、今まで1度もよ。
とは、速水の面子があるだろうから私からは言わない。

「今からあいつにかけて呼び出しなよ。同室ってヨーダだろ?見回り来てもごまかしてくれるって。俺と茉琴は戻るしさ」

ヨーダも由奈のとこには行ってないんだろうな。
まあ、花野が好みなら由奈は違うかもだけど。

「あの2人がつるむとは思わなかったけどね」

「何の話?」

「ヨーダは1年の時、花野に"ホ"だったのよ」

最終学年になって、かっての恋敵と同クラス。
ヨーダは避けるかと思ったのに、休み時間や移動時間も速水と喋ったりして意気投合している。

今日見たところでは、ヨーダは何を考えているのかよくわからない。
時々2人の方をチラチラ見ていたけれど、奪う気もなさそうで。
キス拒否話を速水に聞かれた時は、フォローしてたし。

「へぇ。ここで言っちゃっていいの?」

コトの経緯をあまり知らない康史は、少し顔を反らしてうつむいている花野を指差す。

「いいの、いいの。告られたもんねぇ?」

「も、昔のことです…」

昔と言っても、ヨーダは忘れちゃいないと思うなぁ。

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