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僕ら× 1st.

第10章 修旅 --Khs,Ior,Mkt

速水と行く遺跡墓地。
足元に大きな石が転がって歩きにくい。

こんな時、花野になら迷わず手を差しのべるんだろうに。
この花野限定フェミニストは、「おう、こけんなよー」としか言わない。

と、カシャカシャッとシャッター音がして、他クラスの男が声をかけてきた。
まずっ、フライデー男だ。

「お前ら白昼堂々とW不倫かよ?」

「はぁ?私とこいつは犬猿の仲よ。見てわからないの?」

第一発言から鬱陶しい男ね。
そんな男の発言を受けて速水が質問を入れる。

「W不倫ってどういうこと?」

「滝沢と宮石が仲良く歩いてたぞ?宮石をモデルに写真撮ってたし」

「記念撮影だろ?」

速水は「それくらいで不倫ってゆーな」と吐き捨てる。

「その2人はどこよ?」

「さぁ。滝沢が宮石の手を引いて、2人でどっか消えた」

康史と花野?
ありえないでしょ?と思いながらも、私はその言葉に声を失う。

速水はその男の指し示す方向に顔を向けてから、Fri.男に話す。

「ウソつけ。花野と滝沢の班は初日に2人抜けたから仕方ないんだ。お前、変な噂を垂れ流すなよ?」

そう、ウソだよね…。

「俺らは真実のみを報道するよ。な、速水?」

「そう願いたいね」

速水はその男に手のひらを返すように挨拶した後、ずんずんと進路を進んでいった。

怒ってるな……。
その背中から容易に伝わる。

てか、私をこんな気味悪いとこに置いてかないでよ。
この下には、死者の魂がウヨウヨしてんのよ?

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