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僕ら× 1st.

第10章 修旅 --Khs,Ior,Mkt

速水はそんな花野に自分の唇を指して見せ、挑戦的な笑顔を向ける。

「お詫びなら口がいいですけど?」

「お詫び……でも、では。ほっぺがよろしいかと思われませんか?」

どうしてそんな言葉遣いなのよ?

「ふうん。。じゃ、キスの間、レント(テンポ約50)で"だいすき"って数えてね?」

速水が横顔をくいっと出して花野に向ける。
"レントで大好き"?何だ、それは?

「レント……了解。目を閉じて動かないで、タセット(長休止)……」

"タセット"??

そして花野は腕時計をじっと見たあと、速水に顔を寄せる。
速水がゆっくり目を閉じると、花野も目をつぶってその頬にそっと口づけた。
次第に速水の口元に笑みが浮かびだす。

唇が離れると、速水は花野に幸せな笑顔を向けた。

「僕もしていい?」

花野の視線が泳ぎ、私たちを見る。
私と康史はグッと親指を立てて見せた。

速水に抱き寄せられると、うつむきがちに目をきゅっと閉じて固まる。

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