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僕ら× 1st.

第10章 修旅 --Khs,Ior,Mkt

髪を掻き分け、その横顔に近づく速水…。
花野の頬に触れた速水の唇が動きだす。

と、その口が"ニシッ"といたずらっぽく笑った気がした。

「ひゃっ!」という小さな悲鳴とともに、立ち上がった花野が耳を押さえて速水から離れる。

「早っ」

「い、伊織君ったらっ」

「ごめんっ。花野の耳、可愛いすぎてっ」

逃げようとした手を即座につかんでこんな台詞を吐くもんだから。
苦笑いと照れ笑いが混じったような表情をする花野。

速水は、動けなくなった花野を抱き締める。
そして、懲りずに花野の耳元で何かを囁き、耳たぶを"はむっ"と甘噛みする。

「やぁんっ……」と花野が抵抗しようとするも、その手をつかんで一言。

「タセットっ」

そのまま"ピチャっ"と音をたてて、続ける。

うわぁ、速水っ。
えっろ……。

「俺らもする?」

ファインダーを通してそれらを見ていた康史が、私を誘ってきた。

「してほしい!」

康史から耳キスを受け、花野が飛び退いた理由を知る。
めちゃ、こそばゆい…。

と、そんな私たちに声をかける無粋者が1人。

「お前らは新婚ごっこでもしてるつもりか?」

急な雨で遅れた私たちを探しに来たであろう担任が、腕を組んでこちらを見ていた。

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