テキストサイズ

僕ら× 1st.

第10章 修旅 --Khs,Ior,Mkt

「それよりさ。先生って煙草吸ってた?」

自分のことを棚に上げるように、速水は根岸を鋭く刺す。
実際、根岸の吐息だけでなく衣服からも臭気が漂ってる気がする。

「勧められたから久しぶりに1本吸っただけだよ。臭う?」

1本っていっても副流煙もうもうの喫煙室にこもってたんでしょ?
見なくてもわかるわ。

「そりゃわかるよ。トロンボーン諦めたわけじゃないんでしょ?COPD(慢性閉塞性肺疾患)に自らなりにいくのか?」

へぇ、根岸って楽器やってんの。

「もうしないよ。目ざといなぁ」

「恩師には健康で長生きしてほしいからね」

速水、よく言うわ……。
優しくしておいてさっきの耳キスの口止めか?

速水の意図に気づいてない風の根岸は、照れたように笑って私たちを先導した。

おかげで駐車場に着くまでそれぞれのカップルは、何も苦言を吐かれずに手を繋ぐことができた。

康史と花野が自分のクラスバスに乗り込む際、速水は花野に唇を軽く尖らせてキスする素振りをした。

この修学旅行で開放的になったのか、速水は花野への好意表出を更に強めた気がする。

今年のクリスマスにはベッドインしちゃうかもしれない。
花野の寝顔画像との交換アイテムを早急に考えなければ。

帰りのバスに揺れながら私は、Wデートプランを立て始めるのだった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ