テキストサイズ

僕ら× 1st.

第11章 サマサイド --Ior,Thk

~羽賀桃湖side~

"可愛い2人!"と、一目で気に入った。
幼くて人形みたいなルックスがとにかく!

そのピアノを弾くにこやかな女のコ…。
こまっとした中肉中背で柔らかそうなほっぺ。
大きすぎない半奥二重は、一番の魅力。

手は決して大きくない。
だけど、柔軟に開き左右でカバーしあっている。

そして、彼女のペースを確認しながらドラムを操る男のコ。
正確なリズムに強弱のメリハリも備わっている。

楽しそうに笑うと八重歯が覗く。
姿勢良く身のこなしも軽いからには、ある程度鍛えている身体と窺わせる。

聞けば2人で教師に掛け合って作った同好会。
ジャズメインだけど、ポップスやクラシックも大好きで、文化祭の前座を務めたりもしていると。

プロを目指している訳ではないらしいけれど、取り組む態度は真剣で、高等部のおちゃらけたバンドに入るより私に向いていると感じた。

私、声楽家を志す高等部2年生…羽賀桃湖。
両親の経営する温泉宿では人気の歌姫。

この春に転校してきたばかりで、中高一貫のこの学校に少し溶け込めないでいる人見知りの女のコ。

私の居場所を見つけた。

上級生だと気を遣われないように、打ち解けやすい雰囲気で自己紹介。

女のコはとても歓迎してくれている。
でも、男のコは…むっつりして。

あはは。
この女のコと2人きりでいたかったんね。

ふて腐れて、可愛いっ。
私にとられないよう彼女を手繰り寄せる。
そのストレートな行動に安心する。

この2人となら仲良く過ごせる!
そう直感した。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ